脳卒中は、脳の血管が詰まったり破れたりすることで発症する病気です。
予防するためには、高血圧や糖尿病、脂質異常症などのリスクを早めに把握し、適切に管理することが重要です。
本記事では、健康診断で確認したい数値の目安や、高血圧・糖尿病・高脂血症と脳卒中の関係、今すぐ始められる対策を分かりやすく解説します。
脳卒中とは?

脳卒中とは、脳の血管が詰まったり破れたりすることで、脳の働きに障害が起こる病気の総称で、主に「脳梗塞」「脳出血」「くも膜下出血」の3つに分けられます。
脳梗塞は、脳の血管が詰まることで血液が行き届かなくなり、脳細胞が壊死する病気です。一方、脳出血やくも膜下出血は、脳の血管が破れて出血することで起こります。
脳卒中を発症すると、片方の手足や顔のしびれ・麻痺、ろれつが回らない、言葉が出にくい、立ったり歩いたりできない、物が二重に見えるといった症状が現れます。また、くも膜下出血では、頭をバッドやハンマーで殴られたような激しい頭痛が起こることもあります。
脳卒中では、早期の治療が予後を大きく左右するため、異変を感じた場合は速やかな対応が必要です。
脳卒中予防のために健康診断で確認したい3つの数値

脳卒中を予防するためには、健康診断の結果から血管の状態や生活習慣病のリスクを把握することが大切です。ここでは、脳卒中と関わりが深い3つの数値を解説します。
■ 血圧
■ HbA1c
■ LDLコレステロール
血圧
高血圧は、脳卒中の大きな危険因子の一つです。血圧が高い状態が続くと血管に負担がかかり、動脈硬化が進みやすくなります。その結果、脳梗塞や脳出血のリスクが高まるとされています。
健康診断では、診察室で測定した血圧が140/90mmHg以上の場合、高血圧と判断されます。特に160/100mmHg以上の場合は、早めの受診が必要です。
ただし、血圧は緊張や睡眠不足などによって変動することがあり、一度の測定結果だけで判断することはできません。健診では正常でも自宅では高くなる「仮面高血圧」のケースもあるので、家庭でも定期的に血圧を測り、普段の状態を確認しておくことが大切です。
HbA1c
HbA1cは、血液中のヘモグロビンにブドウ糖が結びついた割合を示す数値で、過去1~2か月程度の平均的な血糖状態を示しています。その日の食事や運動の影響を受けにくいため、健康診断では糖尿病や高血糖のリスクを確認する指標として用いられます。
HbA1cが高い状態が続くと血管が傷つき、動脈硬化が進みやすくなります。動脈硬化は脳梗塞の原因にもなるため、脳卒中を予防するうえでも数値の確認が大切です。
健康診断では、5.5%以下が正常の目安とされ、5.6%以上になると生活習慣の見直しが必要になる場合があります。さらに、6.5%以上は糖尿病が疑われる数値のため、医療機関を受診して詳しい検査を受けましょう。
LDLコレステロール
LDLコレステロールは、いわゆる「悪玉コレステロール」と呼ばれるもので、増えすぎると血管の壁にたまり、動脈硬化を進める原因になります。動脈硬化が進行すると血管が狭くなったり、血栓ができやすくなったりするため、脳梗塞のリスクも高まります。
健康診断では、LDLコレステロールが140mg/dL以上の場合、高LDLコレステロール血症と判断されます。また、高血圧や糖尿病、喫煙習慣などのリスク因子がある場合は、140mg/dL未満でも注意が必要です。
高血圧・糖尿病・高脂血症と脳卒中の関係

高血圧や糖尿病、高脂血症は、血管に負担をかけ、脳卒中の発症リスクを高めます。ここでは、複数の疾患が重なった場合の影響と、健康診断で異常を指摘された際の対応について見ていきましょう。
■ 複数のリスクが重なると血管への負担が大きくなる
■ 健康診断の異常値を放置しないことが大切
複数のリスクが重なると血管への負担が大きくなる
高血圧・糖尿病・高脂血症は、いずれも動脈硬化を進行させる要因となります。
高血圧では、血管の壁に強い圧力がかかり続けることで、弾力が失われたり損傷を受けたりするおそれがあります。また、糖尿病では、高血糖の状態が続くことで血流を調整する機能が低下し、血管の老化につながります。
さらに、高脂血症では、LDLコレステロールなどが血管の壁に蓄積し、血液の通り道が狭くなる原因となります。こうした疾患が重なると、それぞれの影響が相まって、脳卒中を発症する危険性が高まります。
健康診断の異常値を放置しないことが大切
高血圧・糖尿病・高脂血症は、自覚症状がほとんどないまま進行することがあります。健康診断で異常を指摘された場合は、「体調に問題はないから大丈夫」と自己判断せず、適切に対応することが重要です。
数値が高い状態を放置していると、気付かないうちに動脈硬化が進み、脳卒中につながる可能性があります。基準値を外れていた場合は、必要に応じて医療機関を受診し、詳しい検査や経過観察を受けるようにしましょう。
脳卒中を予防するための生活習慣

脳卒中を予防するには、日頃の生活習慣を整え、血圧や血糖などを適切に管理することが欠かせません。以下のようなポイントを意識して、毎日の生活に取り入れていきましょう。
■ 塩分や脂質を控えた食生活を意識する
■ 適度な運動を習慣にする
■ 禁煙を心がける
■ 飲酒量を見直す
■ 健康診断を毎年受けて数値の変化を確認する
塩分や脂質を控えた食生活を意識する
脳卒中の予防には、塩分や脂質の摂りすぎを避け、バランスのよい食事を意識することが効果的です。1日の食塩摂取量は、男性7.5g未満、女性6.5g未満が目安とされており、高血圧の方は6g未満に抑えることが推奨されています。
塩分を控えるためには、しょう油やソースを料理にかけるのではなく、少量をつけて食べる方法がおすすめです。また、だしのうま味や酢、レモンなどの酸味を活用すれば、薄味でも満足感を得やすくなります。
さらに、脂質の摂り方にも注意が必要です。肉の脂身など、飽和脂肪酸を多く含む食品は摂りすぎを避け、青魚や野菜を積極的に取り入れましょう。さらに、お菓子や甘い飲み物、アルコールの摂りすぎにも気をつけることが大切です。
適度な運動を習慣にする
ウォーキングや軽いジョギング、水中歩行などの有酸素運動を取り入れることも、脳卒中の予防に役立ちます。目安は1日30分ほどで、少し息が弾むくらいの強度が適しているとされています。
まとまった時間を確保しにくい場合は、10分程度の運動を数回に分けて行っても問題ありません。さらに、通勤や買い物で歩く距離を増やしたり、エレベーターではなく階段を使ったりするなど、日常生活の中で体を動かす機会を増やす方法もおすすめです。
激しい運動を無理に行うのではなく、自分の体力や生活スタイルに合った方法を選び、継続しやすい形で取り組むことが大切といえます。
禁煙を心がける
禁煙も、脳卒中を予防するうえで欠かせない対策です。タバコに含まれるニコチンや一酸化炭素には、血管を収縮させる作用があります。その結果、血圧が上がったり、動脈硬化や血栓の形成を促したりするリスクが高まると考えられています。
なお、禁煙する際は本数を徐々に減らすのではなく、禁煙開始日を決めて一気にやめる方法がおすすめです。本数を減らすだけでは喫煙習慣が残りやすく、タバコを完全に断ち切るまでに時間がかかることがあります。
自分だけで続けるのが難しい場合は、禁煙外来を受診し、医師のサポートや禁煙補助薬を活用するのも選択肢の一つといえるでしょう。
飲酒量を見直す
脳卒中を予防するためには、飲酒量の見直しも重要なポイントです。アルコールの過剰摂取は血圧を上昇させ、高血圧につながる可能性があります。そのため、普段から「自分がどの程度飲んでいるのか」を把握し、飲みすぎを防ぐことが大切です。
厚生労働省の「21世紀における国民健康づくり運動」では、適度な飲酒の基準として、男性は1日平均純アルコール約20g、女性はその半分~3分の2程度が適当としています。純アルコール20gはビール500ml程度、日本酒1号弱に相当します。
ただし、20gまでなら安全という意味ではなく、個々の体調や体質によっても発症リスクが高まる飲酒量は異なります。毎日の摂取量を記録したり、お酒を飲まない日を設けたりしながら、できるだけアルコールの摂取を控えることが重要です。
健康診断を毎年受けて数値の変化を確認する
健康診断では、その年の結果だけでなく、過去からの変化を確認することも大切です。数値が基準値の範囲内であっても、数年にわたって少しずつ悪化している場合は要注意といえます。
毎年の結果を並べて比較すると、自分では気づきにくい体の変化を把握しやすくなります。また、複数の項目で異常がみられたり、同じ項目を繰り返し指摘されたりした場合は、「軽い異常だから」と放置せず、早めに医師へ相談しましょう。
定期的に健康状態を確認し、必要に応じて食事や運動などを見直すことが、脳卒中リスクの低減につながります。
定期的な健康診断で脳卒中を予防しよう
脳卒中を防ぐためには、血圧・HbA1c・LDLコレステロールなどの数値を定期的に確認し、異常を早めに把握することが重要です。また、バランスのよい食事や適度な運動を取り入れ、禁煙や節酒を意識することも予防につながります。丈夫な血管を維持するためにも、健康診断を活用し、数値の変化を日々の体調管理に役立てましょう。






